クラシック

指揮者って本当に必要?仕事内容から給料事情までわかりやすく解説!

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指揮者って一体何のためにいるの?
具体的な仕事内容や給料ってどうなってるんだろう?

指揮者はオーケストラにとって必要不可欠な存在です。
今回は業界の裏事情まで徹底解説しちゃいます!

こんにちは、かっぱ(@hiroeverything)です!

中学生の頃からオーケストラでヴィオラ(バイオリンより一回り大きいやつ)を演奏しています。

先日のゴールデンウイークに東京有楽町で開催された「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018」というクラシックの音楽祭に行ってきたのですが、その時小学生くらいの男の子がお母さんにこんなことを質問していました。

「お母さん、指揮者ってみんなの前に立って何してるの?」

そのお母さんはこう答えます。

「指揮者はね、オーケストラに合図を出して演奏を引っ張っているのよ。」

この会話が印象的でずっと頭に残っていました。

たしかに私がオーケストラで演奏してきていなかったら、あの時のお母さんと同じように答えると思います。

でもこの答えは100点満点でいうと10点です。(かなり厳しめ!)

決して間違ってはいません。

たしかに指揮者が演奏会でオーケストラの前に立ち、指揮棒を振って合図を出すのは大きな役割の1つ。

ただこの合図を出すという役割は、指揮者の仕事のほんの一部分に過ぎないのです!

ということで、「指揮者って必要なの?普段どんな仕事してるの?」という疑問に答えるべく、この記事では指揮者の仕事内容から気になる給料事情までお話しします!

指揮者の給料についてはなるべくオブラートに包みますが、金額を出すので結構生々しくなるかもしれません。

それでは早速いきましょう!

指揮者はオーケストラにとって必要不可欠な存在

指揮者の真髄はズバリ、念入りな事前準備にあります。

これは人によって感覚が違いますが、私は指揮者の仕事は練習が9割、本番が1割だと思っています。それほど指揮者とオーケストラのリハーサルは重要です。

オーケストラを会社に例えると、指揮者は社長です。

リハーサルにおいて指揮者は、「演奏会を聴きに来てくれた観客のために良い演奏をする」という目的のもとオーケストラに細かく要求をします。

その要求は例えば弦楽器セクション(会社でいうところの「部」)や、トランペットパート(会社でいう「課」)に対して行われ、音の出し方、旋律の歌い方などを改善し指揮者の理想とする音楽に近づけていきます。

プロのオーケストラでは本番1回につき事前リハーサルは2回程度。限られた時間の中で、時には初対面の指揮者と良いコミュニケーションを取ることが演奏会成功のカギとなるのです。

指揮者がいないということは、演奏する音楽の明確なビジョンが見えないということ。

それでは到底良い音楽を創り上げることはできませんし、観客の心を動かすことは叶いません。

したがって会社の経営と同じように、指揮者はオーケストラにとって必要不可欠な存在なのです。

指揮者の具体的な仕事内容

それでは指揮者の仕事内容についてもう少し掘り下げてみましょう。

指揮者が演奏会の依頼を受けてから、本番を迎えるまでの流れを紹介します!

指揮者個人による準備

指揮者が演奏会の依頼を受けると、スコア(総譜)と呼ばれるオーケストラ全ての楽器が記載されている楽譜を見ながらまず個人で準備します。

下の写真は有名なベートーヴェンの交響曲、「運命」の冒頭です。

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出典:IMSLP

指揮者は演奏会で取り上げる曲目のスコアを見て、作曲家が記した音符の意味を深く理解したり、自分なりの音楽表現をどう曲に取り入れるか想像したりします。

例えば「運命」の冒頭は「ソソソミー」という音楽で始まりますが、この部分だけでも指揮者によって演奏は大きく異なるのです。

「ソソソミー」と駆け抜けるような速いテンポで演奏する指揮者もいれば、「ソッソッミーーッ」と重くどっしりとした音楽にする指揮者もいます。

たったこれだけでも曲全体の印象ががらっと変わって、観客の感動に影響します。

指揮者はオーケストラと合わせる前に、このような自分だけの音楽を準備しておく必要があるのです。

【ご参考】

速いテンポで疾走感あふれる運命(ラトル指揮/ウィーン・フィル)

重厚でどっしりとした運命(フルトヴェングラー指揮/ベルリン・フィル)

オーケストラとのリハーサル

指揮者個人で準備を整えたら、次はオーケストラとのリハーサルに入ります。

リハーサルではオーケストラの技量を把握しながら、指揮者が自分の表現を奏者に要求して精密さを高めていきます。

オーケストラ全体の響きを常に自分の耳でチェックしないといけないので大変な作業です。

ただ前述したように、プロのオーケストラだとリハーサルは2回程度と時間が限られています。

しかも、プロの奏者は指揮者と同じように「自分の音楽」を持っており頑固な人も少なくありません。若手の指揮者だとオーケストラになめられてしまい、思うようなリハーサルができないこともあります。

ここでもやはり堂々とした立ち居振る舞いで、奏者と上手なコミュニケーションを取ることが重要なのです。

演奏会本番

リハーサルがあっという間に終わり、演奏会本番を迎えます。

演奏会本番は全体の仕事の1割だと言いましたが、本番でミスをしたら当然台無しです。指揮者は右手でオーケストラに的確な合図を出しつつ、左手で自分の音楽を表現します。

かっちり音を出してほしい場面は固く指揮を振ったり、踊るような楽しい場面では指揮者自身が飛び跳ねたりすることもあります。

観客からすると生の演奏会でしか味わえない部分の1つが、指揮者のパフォーマンスなのです。

具体的に見てて楽しい指揮者というと、私はレナード・バーンスタインという往年の大指揮者を思い出します。

【キャンディード序曲(バーンスタインによる自作自演/ロンドン交響楽団)】

生のクラシックコンサートは耳だけでなく目で観ても楽しめるので、是非一度足を運んでみてください。

指揮者の給料

指揮者の給料は他の芸術分野と同じくピンキリの世界です。

ここでは私がアマチュアオーケストラ(以下アマオケ)に在籍してきた経験から、指揮者のギャラを少しだけお話しします。

私が在籍していたオーケストラの1つは、日本クラシック界を牽引するトップ指揮者を頻繁に招いて指揮をお願いしていました。

アマオケの場合はプロとは技量が異なるため、指揮者とのリハーサルも多めに行います。

約3時間のリハーサル5回と演奏会本番の指揮で下記のような料金を支払います。

指揮者出演料の一例

指揮者A(日本でも指折りの巨匠)…120万円
指揮者B(Aよりは下だけど巨匠クラス)…100万円
指揮者C(海外を拠点とする巨匠クラス)…100万円
指揮者D(第一線で活躍している中堅クラス)…85万円

著名な指揮者の場合、事務所に所属していることが多いため出演料がそのまま収入となるわけではありませんが、年間100本近い演奏会をこなす指揮者などのお給料は容易に想像できます。

ではどうしてオーケストラ側が、高額な出演料を払ってでも良い指揮者を呼びたいかというと、やっぱり観客に喜んでもらえる良い演奏がしたいからなんですよね。

指揮者とオーケストラの相性もありますし、演奏会の反響も指揮者によって全然違います。

プロ、アマチュア問わず、その演奏会の一瞬でしか表現できない音楽に魂をこめるわけです。

指揮者の違いこそがクラシックの面白さ

以上、指揮者の仕事内容について私の経験も交えながらお話ししてきました。

もう一度まとめると下記のようになります。

指揮者って本当に必要?

・指揮者はオーケストラにとって必要不可欠な存在。実は本番以外に入念な準備をして臨んでいる。
・オーケストラは良い指揮者に高額な出演料を払ってでも振ってほしい。その人にしかできない音楽を一緒に創り上げたいから。
・同じ曲でも指揮者によって演奏が全く異なる。その違いこそがクラシックの面白さ。

最後に指揮者の違いがよく表れている、オススメの演奏を1つ紹介して終わります。

これは世界最高のオーケストラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が演奏している野外コンサートの映像です。指揮者はウィーンフィルと幾度となく共演しているフランツ・ウェルザー=メスト。

特筆すべきはそのプログラムで、なんとあの「スターウォーズ」が入っています!

世界最高のスターウォーズを是非目と耳で体感してみてください。